ちびビーバーのなやみ

ちびビーバーのなやみベネディクト・ラフェルト（作）小林修（訳）

「おひさま」とかいう絵本雑誌を読んであげたとき、これは使えると思い、授業で使ってみました。自分の良いところを生かしていくところがいいです。短所を攻めてくる動物の存在もなかなかです。パパビーバーの言葉を主発問にしました。
絵本は道徳に使えそうなのがあるので馬鹿にできないと思っています。

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「あーあ、たいくつ。だれかぼくとあそんでくれないかなあ・・・。」
ちびビーバーのロンゲロックは、いけのほとりにすわってぼんやりしていました。
そのとき、めのまえのすいれんのはっぱのうえを、カエルが１ぴきぴょんぴょんととびはねていきました。
「あれ、ゴロップだ。たのしそうだなあ。おーい、ぼくにもやらせてよ。」
ロンゲロックはいそいでいけにとびこむと、すいれんのはっぱによじのぼろうとしました。
ところがそのとたん、ちびビーバーは、はっぱといっしょに、みずのなかへしずんでしましました。
「へたくそ！ビーバーはおもたいから、うすいはっぱにのれるもんか！」
かえるのグロップがわらっていいました。ロンゲロックはがっかりして、みずからはいあがりました。
ふとうえをみると、はりねずみのピクーがいけのしゃめんででんぐりがえしをしています。・・・３０、・３１，３２・・・。ピクーはたのしそうに、なんどもしゃめんをころがります。
「うわあ、たのしそう！おーい、ピクー。ぼくにもやらせてよ。」
ロンゲロックは、いそいでしゃめんをかけあががり、ピクーのまねをしてくびをすぼめました。
そのとたん、あしがもつれて、ごろごろごろごろしゃめんをころげおちました。
しかもおおきなしっぽが、ぴしゃぴしゃかおにあたります。
「しっぽが、おおきいから、ビーバーにはでんぐりがえしはむりだよ。けがするといけないから、やめたほうがいいよ。」
ピクーがしんぱいそうにいいました。
「しっぽなんかなければいいのに・・・。
ロンゲロックはくやしくてたまりません。
そのとき、あたまのうえできれいなこえがしました。
ことりのティルルイが、ようきにくちぶえをふいているのです。
「たのしそうだなあ。おーい、ティルルイ。ぼくもいっしょにふかせてよ。
ロンゲロックはむねいっぱいいきをすいこみ、おもいっきりはきだしました。ところが、うまくおとがでません。
「ビーバーはまえばがおおきいいから、じょうずにくちぶえがふけないんだわ。」
ティルルイが、やさしいこえでいいました。
ロンゲロックは、すっかりしょげてしまいました。このままだとおともだちのだれともあそぶことができません。きのぼりもできないから、りすのクラクニワセットもあそんでくれないでしょう。
ちびビーバーは、しょんぼりおうちにかえって、ママにいいました。
「しっぽとまえばがおおきすぎて、だれともあそべないんだ。ぼく、ビーバーにうまれなければよかった！」
すると、パパがおおごえでいいました。
「そんなことをいうもんじゃない！あたまのいいビーバーなら、じぶんにできるあそびをみつけるはずだぞ。」
ロンゲロックはいっしょうけんめいかんがえましたが、いいかんがえなんかおもいつきません。
ちびビーバーはかなしくなって、じっとパパとママをみつめました。
すると、とつぜん、パパがまえばできのみきをかじりはじめました。それをみたママも、いけにとびいこみ、おおきなしっぽをゆすって、じょうずにおよぎだしました。
「そうか！」
ちびビーバーはそうさけぶと、おおいそぎでみずべへはしりだしました。そしてふとくてながいきをえらんで、パパのようにみきをかじりだしたのです。ビーバーのまえばはおおきくてじょうぶなので、かたいきがたちまちたおれました。
ちびビーバーはきをいけにうかべて、おおごえでさけびました。
「みんなこっちへおいでよ！いっしょにふなあそびをしようよ！」
カエルにはりねずみ、りすにことりがまるたのふねにのりこむと、ロンゲロックはおおきなしっぽをみずにつけて、ママがやったみたいにじょうずにゆすりました。
すると、どうでしょう。おもいまるたがすいすいうごきだしたのです！
「うわあ、たのしいなあ！」
おともだちのよろこぶこえをきいて、ちびビーバーはすっかりとくいになりました。そして、こころのなかで、パパとママにおれいをいいました。
「パパ。ママ。ぼくビーバーでよかったよ。だって、ぼくのまえばとしっぽって、ほんとにすごいんだもん。」